short boys

□待つということ。
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執拗に繰り返される舌の攻防戦に腰がふわりと浮き立つのがわかる
けどそれは、すぐに現実へと引き戻されることとなった

「あ、ヤベ…遅刻っ!!」

「らしくもないねぇ〜。生真面目さだけが取り柄の土方くんが遅刻なんて。お前からソレとったらあと何がのこんの?黄色い半個体物?もういっそのこと頭の毛をこう、例のご当地のアレみたいな?ピーンととんがらせちゃえばいいのに。」

「おまえ、マヨラー馬鹿にしてんなよ!!?」

「なにキレてんのぉ?遅刻するよぉ?」

「てめぇ……!帰ったら覚えとけ」

上着やらなんやらをひっつかんで走り出す土方に銀時は思わず笑った。


平和で幸せな毎日だけど、時々照れくさい時や気まずいときはこうしてお互い悪態をつく。
それが意外にも心地よくて、俺は居着いてしまったのだろう。



土方の家に畳はあるものの、彼の部屋自体はより近代的な作りで白を基調としており、黒のデスクと真っ白いベッド、そして恐らく真選組のであろうか勲章や賞状、そしてスクープ記事の切り抜きなんかが入っていたり貼ってあったりする本棚。
まぁそのなかには"白夜叉"に関する記事なんかもあったりして、その点に関しては居心地がいいのか悪いのかわからなくなるほどだが。

この前、こっそりとデスクの引き出しを開けてみたら大事そうにラブレターやなんかが入ってるのを見つけたりして喧嘩になったりもしたけど。

それでも好きだ。
その気持ちに変わりはない。


だけど…たまに思うんだよね。
俺より仕事を優先させるアイツは本当にこの生活で良いと思っているのかって、そこもやっぱ気になる。
女々しいとか、今にも離婚を考えてる主婦みたいとか、そりゃまぁ自分でも思うけどさ…。

ラブレターの件でもやっぱそうだけど、アイツはモテる。
……ムカつくぐらいに。
しかも本人は無意識であれ妙に出来のいい部下の頭をそれとなく撫でたり、たまに嬉しそうに笑ったりする。
そこにキャーキャー騒ぎ立てる目障りな女子共の票を難なく獲得していきやがる。

それによぉ、そんな土方に構ってもらおうと優等生になりきれない沖田くんは真逆に手のかかる子を演じて行為をアピールしている。
それこそ土方は嫌われているとか思っていて全く気がついてなどいないようだけど。
というか、先生と親に構って貰えない腹いせにお坊っちゃま道を踏み外した不良か、沖田くんは!



ま、とにかく。
そんな土方くんに俺は手を焼いているわけで……。
今日も家に大人しく留まれずにいる。


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