short boys
□贖罪愛
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目の前を鮮血が舞う。
ドロドロとした液体は金魚の尾ひれのようにひらりと宙を泳ぎ、やがてバラバラになって地面へと落ちる。
見渡せば辺り一面紅い海に染まっている。
「…最後だ」
呟いた途端、視界の端に新たな人物を捉える。
20人分はあるだろうかという血液の中で、立っているのは自分と最後の取って置きと今来た人物の三人だけだ。
つい数分前までは呻き声や唸り声、悲鳴や足音、そして人を切り刻む音などがひっきりなしに鳴り続いていたこの場所は、ほぼ静寂に包まれた。
騒ぎの元凶達は皆死んだ。いや、殺された。俺に。
高杉晋助は、血に濡れた刀を振り上げながら、「面倒くせぇ」と思った。
別に悪いことをしている自覚がないわけではないが、後もう少しで終わったのに、なんでここでお前が来ちまうんだ、と思わずにはいられなかった。
最後の取って置きは意外にも脆く首が飛んだが、高杉の目的はそれで達成、ということにはならなくなってしまった。
「高杉…っ、お前……」