BL小説


□アラート
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いけない事だと分かってはいてもその常識がいつまで保てるかなんて分からない


「やだっ…触んないで…」


オレもこの時に見捨てればよかったのに







そんな冷静に事態を理解し始めたのは

名前も知らない少年が
その華奢な体で呼吸を整えていた時だった


少年の手首はオレが押さえつけた事を物語っていた

顔や髪の毛にかかった白く濁った液体が自分のものと分かって酷く自分を嫌悪した


無理矢理であれそれを受け止めた少年を愛しく健気と思った


自分の中に住むどす黒いものがすぅっと引いていくのが分かった


「お兄さん…もぉ行くの?」


「行かないよ…どうしたの?」


「ううん…」


びっくりした攻め立てられると思っていたから


「汚してごめんね」


そう言って少年の頭を撫でた

「ううん…大丈夫」


「お腹減ってない?」


「んー…少し」


「君の好きなもの作るから言って」


「えっ…じゃあ肉じゃが」

目を輝かせて言った


「分かった…お風呂入っておいで」


「んー分かった」


名前も知らない少年にせめてもの罪滅ぼしで肉じゃがを作り始めた






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