短編

□少年少女は夢をみる
1ページ/1ページ



この世に絶望した、こんなにも生きにくいこの世界に。

まだ子供だからと働かせてはくれなくて、そのくせお金は同じように払わせられる。
まだ子供、まだ子供なんて聞き飽きた。とっくに少年法も見放した年齢なのに、まだ子供。
若いからといって全てに反対するお前らのほうが子供じゃないかと言ってみたくなる。
俺がなにしようが、誰と付き合おうが俺の勝手じゃないか。確かに息子が男と付き合ってるなんて知ったらショックかも知れないし、別れてくれと頼みたくなる気持ちもわかるけど、白石は本当に素敵な人なんだ。会って話しをすればきっとわかってくれるのに。結局父さんも母さんも世間体ってやつばかり気にして。
嗚呼、本当にこの世は生きづらい。普通ってなに?どうすればいいの?
なんて正解のない問いに返してくれる人なんていなくて、結局は俺の中でぐるぐる回って、満足のいく答えは出なくて少し凹む。
だからいつも白石に電話するんだ。白石はいつも優しくて、面白くて、かっこよくて。ほら、こんなに素敵な人。だからわかってよ。


「ねえ、白石大好きだよ。すっごくすっごく愛してる」
電話越しに彼の照れた声が聞こえて、また頬が少し緩む
『俺もやで、もうすぐ金貯まるからそっちに会いに行くな』
もうすぐ会えると思うと胸がどきどきする。ぽっかり浮かんだ月がきらきらしてる空に手を伸ばしてみた。届かないけど、確かに君に繋がってる空に。








Title by 彼女の為に泣いた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ