dustbox
□その他
2ページ/3ページ
ブンジロ
朝起きたら机の上に器用で不器用な彼からのプレゼントが乗っていた。寝ぼけながらふらふら近付きバリバリと包装紙を剥がす
「……ケーキだ」
上のチョコのプレートに彼の字で、でかでかと“ジロくんへ”と書いてある。きっと彼の手作りだろう。そして、全く同じ字で、こちらも同じくジロくんへと書かれた手紙も同封されていた。
『ジロくんへ
いっつも無条件に俺の味方になってくれてありがとう。
このケーキはそのお礼。天才パティシエの俺様初のオリジナルケーキだぜぃ?ジロくんをイメージして作ったんだ
丸井ブン太』
丸井くんは進学について親と散々もめた。彼は高校に行かずにパティシエとして修行したいと言い、親は進学しろと彼を怒った
パティシエになりたいという夢を誰も理解してくれず、たった一人で戦っていたが、やはり進学することになった
いつもは自信で満ち溢れている彼が昨日、唯一の理解者らしい俺にそう言いながら、まるで幼い子のようにぽろぽろと泣いたのだ
指で上のクリームを一すくい
「…うまいC」
黄色いカスタードクリームをふんだんに使われたケーキはとっても甘くてふわふわしてて、マジマジ美味しかった
「丸井くん、丸井くん」
自分ほどではないが、一度寝たら中々起きない彼を無理矢理たたき起こしにかかる。
「まーるいくーん、一緒にケーキ食べよーよ」
彼が起きるまであともう少し…
、