永遠に
□天と呼べ
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えっと、これは一体、どういう状況なんだろ
直接、部屋同士が繋がってる扉から天十郎様から突然、訪ねてくるのはよくある事だけど
いきなり、抱きしめられたまま、一言も喋らない
希「どうしたんですか?天十郎様」
天十郎「んー」
首元に埋められた髪が頬を撫でて、少し、くすぐったい
天十郎「・・・俺様は頼りになんねぇか?」
希「え?」
天十郎「言ったろ?守ってやるって、どんなに強ぇ奴からも幾千幾万の敵からも、俺様が守ってやるって」
珍しく、沈んだ声に何も言えなくなる
天十郎「おめぇの立場も俺様の立場もわかってるつもりだ、だから、敬語を止めろとは言わねぇ
けど、呼び方まで今までのままじゃ、何か、主君と従者ってだけみたいな気がすんだ」
ゆっくりと上げられた瞳が寂しげに揺れた
天十郎「希は俺様の従者だけど恋人で未来の嫁だ、その証拠っつうか、証?が欲しいんだよ」
希「・・・天」
天十郎「っっっ」
重ねていた唇を離すと顔が真っ赤に染まっていた
希「頼りにしてますよ、だから、ちゃんと守って下さいね?天」
天十郎「お、おう、任せろってんだ」
建前とか立場ばかりを気にしすぎて、大切な事を忘れるなんて
全ての忠誠を捧げる、誰よりも愛おしい人を悲しませたら何の意味もないのに