永遠に

□天と呼べ
3ページ/5ページ


 えっと、これは一体、どういう状況なんだろ

 直接、部屋同士が繋がってる扉から天十郎様から突然、訪ねてくるのはよくある事だけど

 いきなり、抱きしめられたまま、一言も喋らない


 希「どうしたんですか?天十郎様」

 天十郎「んー」


 首元に埋められた髪が頬を撫でて、少し、くすぐったい


 天十郎「・・・俺様は頼りになんねぇか?」

 希「え?」

 天十郎「言ったろ?守ってやるって、どんなに強ぇ奴からも幾千幾万の敵からも、俺様が守ってやるって」


 珍しく、沈んだ声に何も言えなくなる


 天十郎「おめぇの立場も俺様の立場もわかってるつもりだ、だから、敬語を止めろとは言わねぇ

     けど、呼び方まで今までのままじゃ、何か、主君と従者ってだけみたいな気がすんだ」


 ゆっくりと上げられた瞳が寂しげに揺れた


 天十郎「希は俺様の従者だけど恋人で未来の嫁だ、その証拠っつうか、証?が欲しいんだよ」

 希「・・・天」

 天十郎「っっっ」


 重ねていた唇を離すと顔が真っ赤に染まっていた


 希「頼りにしてますよ、だから、ちゃんと守って下さいね?天」

 天十郎「お、おう、任せろってんだ」


 建前とか立場ばかりを気にしすぎて、大切な事を忘れるなんて

 全ての忠誠を捧げる、誰よりも愛おしい人を悲しませたら何の意味もないのに
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ