永遠に

□愛してくれた人へ
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 希「翼さん」


 ぱたぱたと駆け寄ってきた希を抱き上げると嬉しそうに笑う


 桜「すっかり懐いたわね」


 ゆっくりと歩いてきた桜さんに癖のない黒髪を撫でられて、心地よさそうに瞳を細める


 希「僕、翼さん、好きだもん」

 翼「俺も好きだぞ」


 こつんと額を合わせて、くすくすと笑う俺達を優しく見守る桜さん

 俺はこの2人と一緒にいる時だけ、ただの真壁翼でいられた


 希「ね、翼さん、絵本読んで、新しいの買ってもらったの」

 翼「いいぞ」


 桜さんから絵本を受け取った希を膝の上で抱えて、なるべく、聞き取りやすいように読む

 時折、希は俺に絵本を読んでほしいと強請る事があって、その絵本は決まって、英語で書かれた外国の物語で

 希にはまだ難しいんじゃないかと尋ねた俺に桜さんは微笑んで、言った

 今の希は物語を読むより翼くんが話す英語を聞く事の方が好きなのよ、と

 どうしようもなく、嬉しかった、その笑顔がその言葉が

 当時、俺を愛してくれたのは血の繋がっていない2人だけだった
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