永久に
□夏祭り
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時折、ページを捲る音だけが聞こえる静かな部屋にノックの音が響いた
希「はい」
読んでいた本に栞を挟みながら、顔を上げると、執事の石口さんが入ってきた
石口「失礼致します、不破沙耶香様がお見えになっております」
希「沙耶香が?わかりました、応接室ですよね?」
石口「左様でございます」
特に約束はしていなかったはずだが、とにかく、応接室に向かった
希「沙耶香?」
沙耶香「希姉さん、お久しぶりです」
にこりと笑った沙耶香の向かいに腰かける
希「久しぶり、千に何かあった?」
沙耶香「今日はちぃちゃんの事じゃないんですの」
予想が外れたので首を傾げていると、飲んでいた紅茶のカップを置いて、俺の手を取る
希「あ、あの、沙耶香?」
沙耶香「ちぃちゃんから聞きましたわ、今日、ちぃちゃんと一緒に花火大会に行くそうですね」
希「千とだけじゃないからな」
一応、訂正したが、聞こえていないようで瞳をキラキラと輝かせている
沙耶香「それで、着ていく浴衣を選ぶのを手伝いに来たんです」
希「別に浴衣を着ていくつもりは」
沙耶香「駄目ですわ、折角の花火大会なんですから」
希「・・・はい」
あまりの迫力に俺は頷く事しかできなかった