永遠に

□愛してくれた人へ
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 10歳の時、母方の祖父母が亡くなり、日本に帰国した俺を気にかけてくれる人がいた

 守丘桜、その人は真壁財閥とも関わりのある守丘家の現当主の妻と呼ばれる人だった

 その人はとても優しくて、暖かい人だった

 俺はその人が好きになった、本当の祖母のように慕っていた


 (翼くんにね、あの子と会ってほしいの)


 迷う事なく頷いた、久しぶりに穏やかな時をくれた人の頼みだったし

 何より、その人からその子の話を何度も聞いているうちに俺自身も会ってみたいと思っていたからだ


 (つばさ、さん?)


 ふわりとした淡い桜色のワンピースを着た小さな身体

 桜さんの背中に隠れながらも、俺を見つめる、彼女と同じ、黒曜石のような瞳

 たどたどしく俺の名前を呼んだ高めの声

 照れたように笑った姿はまるで、花が咲いたようで可愛らしいと素直に思った


 (I’m glad to meet you,my small princes(初めまして、俺の小さなお姫様))


 俺の言った意味がわからず、首を傾げながらも、控えめに俺の服の裾を掴んだ小さな子供は桜さんの孫で守丘家跡取りの守丘希だった
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