短編集
□ある日の電車
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「嫌がってるじゃないスか。」
最悪だ…。よりにもよって黄瀬くんに見付かってしまった。誰にもバレたくなかったのに。まだ、黄瀬くんは僕だということには気付いてないみたいだけど。
痴漢は第三者の侵入に驚いてたまたま開いたドアから逃げていったようだ。
その間に僕は慌てて下ろされたズボンと下着を上げた。
「大丈夫っスか?…って黒子っち!」
「黄瀬くん、おはようございます。助けてくれてありがとうございました。」
「おはようっス。いや、別にいいんスっけど大丈夫っスか。」
「えぇ。大丈夫です。」
早くどっか行ってくれないかな…。こんな惨めな姿見られたくない…。
ぎゅっと目を閉じていると、
「黒子っち…。」
突然腕を掴まれ、ホームへ降ろされた。