Sweet Bitter

□【4】最悪な朝
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「冗談だって。飯はさっきコンビニで買ってきた。お前のバイト先から連絡きてたか辞めるって言っといたぞ。それで?日給はいくらだったんだ」
「…いらねぇ。別に金のためだけにしてた訳じゃねぇし。」
「お前も暇潰しで仕事するのか」
「違うっつーの。仕事すんのは人として当然だろ。アンタんちの家事だけじゃ時間余るからその時間で働いてただけだ」
基本的に実家が自営業だったせいか、学校が終わって、家の手伝いにバイトとあまり何もしない時間がなかった気がする。佐倉も家の手伝いはしていたが、それ以外はほとんど勉強をしていた。柏は勉強が好きじゃなかったので、リビングにあるパソコンをひたすら弄っていたくらいしか記憶がない。友人も当然いたが、大体が家の手伝いをしていて、土日祝日とくに大型連休は掻き入れ時と忙しく過ごしていた。
「とりあえず、俺一回部屋戻る」
片足で立ち上がった柏を見て、章羅はわざとらしい溜め息を吐いた。それから章羅は柏の前に立ち、昨日同様柏を軽々と抱き上げる。
「部屋まで連れていってやるよ、お姫様」
「なっ…!誰が姫だ!お前、少しデカイからって…うわっ!」
柏が文句を言うと、腰に当てられた腕の力を抜かれ、柏は慌てて章羅にしがみつく。屈辱的な自分の行動に羞恥を感じながらも、逆らうなと言うことを本能的に悟った。
「…アンタ、本当に良い性格してんな」
「誉め言葉か?」
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