Sweet Bitter

□【7】Tutorial
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梅雨に入り、気分が滅入る。章羅の家は風呂場が乾燥室になるから洗濯物で困る事はないが、この湿度の高さは耐え難い。長野の田舎に居た時にはもう少しマシだった気がする。
うんざりしながら昼食の準備をしていると章羅が起きてきた。一緒に昼食を食べるか確認すると、食べると言うので章羅の分も作る事になった。作ってる間に顔を洗ってくるように伝えると章羅は大人しく従った。
食事をテーブルに並べていると、章羅も洗顔が終わったのかソファーに座り、テレビを点ける。ローテーブルで食べるのかと溜息を吐きながら、食事を移動させる。少しは手伝えと思いながらも家政夫の身であるため、黙って仕事をするしかない。
「…オムライスにケチャップってどうなんだよ」
「はぁ?別に普通だろ。…店で頼むとデミグラスになるんだっけ」
「米の味付けって確かケチャップだろ。…どんだけケチャップ食うんだよ、この料理」
言われてみれば確かにそうだが、昼食ごときでデミグラスソースを作る気にもなれない。市販のルゥから作るからそんなに手の込んだ事ではないが、ケチャップで十分だと思う。
「文句あるなら食うなよ。何か別に作るし」
「文句はねーけど。玉子半熟じゃねーのか」
「玉子冷蔵庫に3個しかなかったんだよ。文句言ってるじゃん」
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