Sweet Sweet

□【3】Happy Birthday
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生まれてきてくれてありがとう。

誕生日にそんな言葉を掛けられたのは初めての事だった。
俗に言われるお正月が終わってすぐが俺の誕生日。家族に祝って貰ったのはいつが最後だったっけ。小学校高学年の頃には既にそんな事をして貰った記憶がない。中学に上がってからは月子の家族が祝ってくれていた。高校に入学する頃には月子と俺の友達と…それからやっぱり月子の家族が祝ってくれた。今の俺は月子の家族が居たからあるような物だと思う。
高校最後の18歳、今日は佐倉が俺の誕生日を祝ってくれた。今まで彼女と言われる女達に祝って貰った事は何度かあるが、当日は月子の家族に祝って貰う事にしていた。それが今日、初めて誕生日当日に月子の家族以外に祝って貰う事にした。
初恋とも言える程の今まで出会った人の中で一番大切だと思える人にこの言葉を言われた時には不覚にも泣いた。佐倉もこれには驚いていたのが分かる。
佐倉の前では今まで付き合った誰よりも恰好付けていたいのに、誰の前よりも格好悪い所しか見せていない気がする。それでも佐倉はこんな俺で良いって言ってくれる。それだけの事で他の誰からの評価なんてどうでも良くなった。佐倉が良いなら何でもいいよ。
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