Sweet Toy

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「おい、チビ。家帰んねぇの?それとも待ち合わせ?」
突然声を掛けてきた男を章羅は下から睨み上げる。誘拐でもされるのだろうか。いざとなったら大声を出してやろうと考え、章羅は男を距離を取った。警戒されている事に気が付いた男は、章羅の様子に苦笑していた。
「俺ここのコンビニのバイト。お前2時間くらいずっと突っ立ってただろ?待ち合わせの相手来ないなら俺の携帯貸してやるから連絡すれば」
悪意のない表情に声色。ただのお人好しだろうか。それでも油断できないと章羅は無言のまま男を睨み続けた。
「あれ、望月くんの知り合いなの?綺麗な顔した男の子だね」
「いや、知らねーガキ。男に綺麗もクソもねーだろ」
コンビニから出てきた女が望月と言う名前であろう男に声を掛けた。コンビニのバイトと言うのは本当だったのだろう。頭上でそれならどうして話してたの?とそんな会話が交わされている。一通り話した後、女は用事があると帰って行った。
「で、携帯使うのか?」
「…要らない。自分の持ってるし」
「ふーん…。まぁ気を付けて帰れよ。もう暗いし……お前綺麗な男の子≠轤オいから…」
最後の言葉は少し揶揄を含んだ声色になっている。それ以上章羅に興味はないのか、望月はじゃーな、と帰って行った。変な奴。章羅の望月への印象はそんなものだった。
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