Sweet Cage

□【9】GW
1ページ/30ページ

高校に入って約一ヶ月。クラスの三分の一は知り合いだった。顔は知っているが名前は知らない、その逆の人間も含めての数だ。学校にも、友人関係にも浮き足立っているが、五月になる頃には落ち着くだろう。そんな状態だった。
入学してからは部活もせず、大体は家に帰って店の手伝いをしている。家のことは佳乃子が中心にやってくれると期待していたが、運動部に入ってしまったため、それは難しかった。後は佐倉達の幼馴染の鈴。佐倉と鈴が台所に立っている姿をよく見るようになった。去年は受験生だったため、来ないように伝えていたが、4月上旬からは毎日のように顔を出すようになった。佐倉や柏は喜んでいたが、俺は内心困っていた。子供だから素直に感情を伝えるのも怖くないのだろう。それを全力で俺にぶつけてくる。好きやらお嫁さんにして等。鈴からは少し危険な香りがするせいか、子供の戯言だと思って受け流すと大変な事になりそうだ。…確証はないが、直感的にそう感じた。
二人きりになろうものならわずか9歳の少女に恐怖すら感じる。好きだと言われれば、妹のように思っていると返す。結婚のプロポーズを受ければ柏をさり気なく勧めてみる。そんな感じで日々の疲労が蓄積していた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ