Sweet Toy

□永遠-終焉編-
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万ちゃんとの恋人期間が僅か一週間。一年が過ぎて、残り半年をきって…一ヶ月になって。日に日に俺の中の何かが蝕まれて行く感覚に襲われた。
万ちゃんは彼女を裏切らない。…いや、この状況でそれを言うのは微妙だけど万ちゃんは最後には必ず彼女を取る。分かりきった事だった。
付き合った当初は二年の間に俺を選んでくれるんじゃないかってそう思っていた。…月日が過ぎる度にそれは淡い願いなんだと気付かされる。万ちゃんは彼女を大切にしてる。俺はきっといつまで経っても彼女を越える事は出来ないと思う。だって彼女は万ちゃんの半身…いや、体の一部のようなもの。それがないときっと万ちゃんは万ちゃんじゃなくなるんだと思う。だから俺は万ちゃんをここに縛り付けて置く事ができないんだ。
完全に狂ってしまえば、万ちゃんと言う個体を縛り付ける事は容易だろう。でも、そんなのは全く意味がない。万ちゃんだから好きになった。それを壊すなんて言語道断。
綺麗事を言ったって万ちゃんの隣にいたいと思う欲望は押さえる事ができない。万ちゃんを愛してるから。


「生、今日何食いたい?」
「…万ちゃん」
「はいはい。じゃあ夕飯は外食だな」
前はこんな事を言うと恥ずかしがって聞こえない振りを決め込んだのに、二月になってから万ちゃんは俺を甘やかすようになった。
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