Sweet Toy

□俺の苦手な兄貴
1ページ/33ページ

5人兄弟の末っ子として生まれた俺は、両親が忙しくても兄姉が何かと世話を焼いてくれるから不自由なく今まで生きてこれた。直ぐ上の双子の兄貴、柏とはなかなか反りが合わなかったが、その理由は分かっていた。…まぁ俺のせいなんだけど。
お互いに微妙な関係だとは思いながらも、修復させる気もなく日々を過ごしていた。…羊兄が死ぬまでは。兄弟はみんな好きだし、順位を付けることは出来ないが、俺達兄弟にとって羊兄は特別だった。その存在が突然消えてしまった。酷い喪失感に暫くは何も考える事が出来なかった。火葬を終え、燃えた羊兄を確かに見た筈なのに、居間に行けば未だに羊兄がいるようなそんな気がした。
それから一年。今度は佐倉兄が大学の為に上京する事になった。これは羊兄が亡くなる前から決まっていた事だったが、このタイミングで家を出ていく事に愕然とした。本当なら喜んであげるべきだと思う。それなのに、羊兄に引き続き、佐倉兄までこの家から居なくなる。それが凄く辛かった。佳乃姉は羊兄の意思を継ぐべく、今まで羊兄がやっていた仕事をずっとやっている。この家にいるのは…柏と俺だけの状態だ。
柏も朝か夕方かどっちかに隣町に出かける以外にはほとんど家にいる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ