Sweet Toy

□一方通行
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昔から、二卵性で生まれたにも関わらずそっくりだと言われてきた。当然それは外見だけで性格は全く違うから間違われる事は一度もなかった。俺が大人しく絵本でも読む事ができる性格なら一度くらいは間違われたかもしれない。全く別の人格を持って生まれた俺達だけど、俺は佐倉を自分の一部だと思っていた。無論、俺だって佐倉の一部なんだと。
遊びの趣味は全く違うのに、いつも一緒に居ないと不安で、嫌がる佐倉を引っ張ってやんちゃな遊びを無理矢理させていた気がする。二人で遊んでいる時には冒険ごっこと称して村中を歩き回った。迷子になって泣いているのは何時も俺で、佐倉は小さな体で俺をいつも慰めてくれたんだ。大体泣き疲れて眠っている間に羊兄に発見されて、目が覚めるのは羊兄の背中の上だった。暫くは反省して大人しくしていたが、数日空くとまた佐倉の手を引いて山に出掛けた。佐倉は大人しいけど、嫌な事は嫌だと言う。こうして俺に付いてきてくれるのは佐倉も俺と一緒に新しい事に出会いたいからだと信じて疑わなかった。今思えば、俺一人で無茶をさせないように、監視役として付いてきただけなのかもしれない。
家族がいて、佐倉が笑っていれば俺は幸せだった。
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