Sweet Cage

□【8】告白
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新学期が始まり、ようやく夏休みボケが抜けたてきた9月半ば。
千重は相変わらず勉強を頑張っている。推薦を貰えないのは初めから分かっていた事で、夏休み後半もずっと集中して勉学に励んでいた。
今日も、千重に頼まれて、図書室で勉強をしている状態だ。俺は宿題のプリントを進めながら、何となく千重の観察をしていた。
「…千重って背伸びたよな」
「そういえば少し伸びたかも。めーちゃんも伸びてるよね?とにかく、俺の目標はめーちゃんの背抜かすこと」
「ふーん。じゃあ、俺の目標は千重に抜かされない事。俺の父親結構でかいぞ」
千重の両親を見る限りでは、多分俺の方が長身になると思う。このまま父親の血を引けばの話だが。母親は小柄な方だけど、今の所父親の血の方が強い気がする。
なんとなく交わした会話だが、背が伸びていくと共に、段々大人になる準備が始まっているのだと思うと少しだけ切なくなる。
ずっとこのままで居る訳にはいかないんだ。千重も俺も別々の道を歩んで行く事になる。千重が第一志望の学校に受かったら、市内に行く。そうしたら会う事も簡単には出来なくなるんだ。それを何だか寂しく感じた。千重はきっと、もうこの村には帰ってこないだろうから。
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