Sweet Sweet

□【02】甘ったるい幻想と、ニガくてグロい現実。【後編】
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「…修羅場だねえ」
部屋を飛び出したところに、千歳がいた。
「ち、千歳!?」
「あんまり騒がれると勉強できないんだけど」
どうやら、僕らにクレームを言いに来たらしい。
「ごめん…」
千歳はふっと、ため息を吐く。
「とりあえず、部屋戻りづらいんでしょ。俺のとこくれば?」
「うん、ありがとう」
仕方なく、千歳の部屋に行った。
千歳の部屋はもともと、羊兄ちゃんと共用だったから、一人部屋としては若干広めだ。
「なんかあったの?…って、決まってるか。すず姉のことでしょ」
「…うん」
「ほっとけばいいのに。あんなバカップル」
千歳は心底呆れたように言う。
「バカップルって…」
「おおかた、柏兄さんがチキン野郎だからすず姉に手を出せなくてぐだぐだなだけでしょ」
「なんで知ってんの」
「見てりゃすぐわかるよ。
気づいてないのは本人たちと父さんたちとか大人だけじゃないの」
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