Sweet Adult

□夜想曲
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「…出ないと言ったら、出ません!」
強い口調で否定すると、弾季は困惑した。
無理もない。
普段悟己が弾季の依頼を拒絶することはほとんどないから。
仕事関係ならとくに。
「…どうしてもだめか?」
「どうしても、です。
今までだって、一度として了承したことはないはずですが」
「そりゃまあ、な」
「…とにかく、この件に関しては他のメンバーで何とかしてください。
どうしても、というなら」
「いうなら?」
「…お暇をいただくことにします」
悟己は目を伏せて言った。
「え、え!?」
翔斗が驚いて声をあげた。
「…わかったよ」
「では、失礼します」
悟己はそのまま事務室を出て行ってしまう。
今日はクローズしたから、そのまま退勤してしまうのだろう。
「だから言ったろ。説得するだけ無駄だって」
煙草を吸いながら、アキラが言った。
「あの聖美さんが、辞めるとか言うなんて」
「あいつは、あんな見た目しときながら、なるべく目立たないようにホストやってるからな」
弾季がため息まじりに言った。
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