Sweet Adult

□sugar&spice
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あぁ、やっぱりな。
この人、はじめてじゃないんだな。

俺が彼の身体に触れて、始めに持った感想はこれだった。

まあ、ホストなんて仕事を長年していれば、女はもちろん、男と関係を持つことも珍しくないのかもしれない。

俺も似たようなものだし。

経験があるからか、一度こうなってしまったら土壇場でぎゃあぎゃあ言うつもりはないらしい。

一度、ほんの子どもにするような触れるだけのキスをしたら、
それきり彼は静かになった。

彼はこれでももう二十代の後半のはずなのに、
結構童顔で、自分とたいして歳がかわらないような気もする。
そういうところは正直にかわいいと思ってしまう。

所詮、愛するという感情をどこかに置き忘れてきた俺は、愛している、という感情で彼を抱くことはできない。

けれど、久しぶりに、手を出してやりたい。
俺の手でぐしゃぐしゃにしてやりたい…と思う相手だった。御手洗弾季は。

「……悟己?」
押し黙った俺を見て、怪訝そうに彼が俺の名を呼んだ。
「……そんな不安そうに見つめなくても、大丈夫ですよ」
俺はそんな風に返す。
優しくしてあげますから、とは言わない。
成り行きによっては無理かもしれないから。
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