Sweet Bitter

□【4】最悪な朝
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「う…ん…」
もぞっと寝返りを打とうとすると、体に直接布団が触れる感覚がした。更に左手が痺れているのか、全く感覚がなかった。まだ少し眠いが、柏は諦めて起きる事にした。
「…!?」
目を開けると章羅の顔が目の前にあり、柏はこれ以上ないくらいに狼狽えた。何がどうしてこんな状態になっているのか。感覚が全くない左腕はあろうことに章羅の下敷きになっている。
「なっ…な…!?」
「…やっと起きたか。お前の腕がずっと下にあったせいで寝心地が異様に悪かった」
「え…?……えっ?」
戸惑う柏にくらべて、章羅は異常に楽しそうだ。口元に意地の悪い笑みが浮かんでいる。
普通の人間なら、朝起きて直ぐに章羅の顔が目の前にあればその美しさに瞬殺されるだろう。しかし柏にとっては章羅の綺麗な顔が目の前にある事より、今の状況の方が一大事だった。
「…腕、退かすから体浮かせて」
「何だかいやらしい台詞だな?」
「…!どこが!良いから、早く!」
柏が声を荒立てると仕方なさそうに章羅は上半身を浮かせた。今まで顔しか見ていなかったが、章羅も裸だ。一体昨夜何があったのだろう。
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