Sweet Bitter

□【3】一週間side章羅
1ページ/9ページ

望月柏。
こいつがうちに来てから一週間が経った。ホストクラブで可愛がっている後輩、ショートの恋人の双子の兄だとか。
望月が来た週から店が忙しくなり、まさかの一週間フル出勤を強いられた。オーナーも土下座に近い状態で頼んできたし、悪友の聖美が珍しく低姿勢(多分環のためだな)で頼みに来て、ショートには泣き付かれた。断っても良かったが、俺も鬼じゃない。渋々ながらも引き受けてやった。株の動きが少し気になるものの、どんな状況であれ俺なら巻き返せる自信がある。
面倒臭ぇな、と思いながらもやってやると決めたのは俺自身だからやる事はきっちりやってやる。
そんな感じで怒涛の一週間を過ごした訳だが、望月が家にいる事をすっかり忘れていた。リビングのテーブルに食事が乗せられているのを見て、毎回思い出す程度だった。飯を作れ、とは言ったが今の状態で食う気もなく、そのまま寝る日々を過ごしていた。
朝になるとバタバタ騒がしく出ていく様子から、何か用事があるのだろうとは思っていた。特に模索はしなかったが。
とにかく、俺を異常に気に入ってる客のアフターに付き合ったり、週に何度かしかいない俺がいるのを知ってか毎日通う強者もいた。
地味なイベントだったが、オーナーやショートが嬉しそうにしているところを見るのは嫌いじゃなかった。同じ思考を持っているのか、聖美もオーナーの様子を見て、表情を綻ばせていた。(それをからかって遊ぶのも割りと楽しかった)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ