Sweet Sweet

□【0】sugary encounter
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窓を開けると、桜が満開になっている景色が広がった。この部屋は2階だから、窓を開けると桜の花びらが部屋の中に枚落ちてくる。掃除が面倒臭いなんて思ったこともあるが、この季節にしか体験できない事だから、毎日のように窓付近を桜の花びらで汚していた。
アイツと同じ響きの名前を持つ、淡いピンクの花。俺はこの花が好きだった。


床に散らばる花びらを拾い上げ、アイツとの出会いを思い出した。


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俺とアイツが出会ったのは、俺が高校3年に上がる前の春休み。この時、学生の俺は当然ながら『kouign amann-クイン・アマン-』では働いていない。それどころか、ホストになろうなんてことすら考えていなかった。
友達との待ち合わせで新宿駅周辺をぶらついていた。友達との待ち合わせより大分早く到着し、時間を持て余していた。更に、1時間遅れるなんて連絡が入ったもんだからこの余った時間をどう使おうかと考える。無駄な金を使わず、新宿で時間を潰す。服かなんかでも見に行けばいいんだろうが、それも退屈で仕方がない。別の友達に電話して、時間潰しを手伝って貰おうか。
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