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□霧に紛れる雪♂
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イライラしていた。
霧島は誰がみてもわかる程にイライラしていた。
しかし理由は解らなかった。
恋人である、刹那にも。
「き…霧島ー…?」
雨宮が恐る恐る話かけるが、一睨みされ何も言えなかった。
実のところイライラしている理由は霧島にも解らなかった。
刹那を自分のものに出来た筈なのに、何故。
考えていると、不意に声がかかる。
「あの…霧島君」
声をかけてきたのは、自分の愛しい人で。
「何?」
だけれど、素っ気なく返してしまう。
「や…何でもないです…」
刹那の少し傷付いた表情。
この時、霧島は自分が何に対してイライラしてるのか解った気がした。
***
「会長ー、今日も可愛いねっ」
「やめて下さい、雨宮君」
いつもの光景を何気なく霧島は見ていた。
「そんな恥ずかしがり屋なところも可愛いっ」
雨宮が言う言葉に、刹那は少し顔を赤らめる。
それを見た霧島はほとんど無意識に口を開いていた。
「会長って節操ないんだね。可愛いって言われたらすぐ喜ぶんだ」
「お…おい、霧島…」
雨宮が何か言っているが、口は止まらない。
「もういっそ雨宮さんでいいんじゃない?一杯可愛いって言ってくれるよ」
「…っ」
刹那は俯いてしまった。
きっと泣くのを堪えているのだろう。
霧島はそれを見ると、生徒会室を出た。
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