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□解禁ストーリー*秋に募る雪
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「かーいちょっ!!」

雨宮君がいつも通りに抱きついてきたのを、僕は軽くあしらいながら昨日の事を思い出していました。

「か…会長?」

「……何ですか?」

「今日、やけにボーッとしてるね?」

「……そうですか?」

僕は未だに頭から離れない秋人さんの姿を、必死に思い浮かべていました。

(…今日は書類をやる気分じゃありませんね)

僕は今日もはやめに帰る事にしました。

***

自分の意思とは無関係に、僕の足は遠回りをしていました。
秋人さんが通う学校の通学路の近くを歩いていました。心の何処かで、すれ違う事ができるかもしれないという、期待もあったかもしれません。

「じゃあな、和馬」

僕の耳に、聞きたかった声が聞こえました。
前を見ると、秋人さんがお友達と別れて此方へ歩いてきていました。

(ど…どうしましょう…)

僕は内心ドキドキしながら、秋人さんが歩いてくる方向へ足を進めました。
その距離は段々と近付き、僕らは…すれ違いました。一瞬目があったような気がしました。
真っ白い肌に夕焼けのオレンジが影を落としていて、長い睫毛の大きな目はすぐに伏せられて…とても綺麗でした。

(これが…恋情というものでしょうか…)

僕は初めての感情に戸惑いながらも、胸の奥がほんのり温かくなったような気がしました。






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