BL

□アシスタント、動揺
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今日も今日とて、漫画三昧。カリカリカリカリ。
すると、インターホンが鳴り響いた。

「誰ッスかね?」

「出てくるね」

伊丹先生は、玄関へと小走りで向かった。
俺は気にせずに漫画の作業を進めていた。

「ぅ、わぁっ!?」

先生の声が聞こえて俺は急いで玄関に向かう。

「……せ、先生?」

先生は美人な女性に抱きつかれていた。

「相変わらず可愛いわよねぇっ」

「や…やめて下さっ…千歳君、助けて…」

「…!」

俺は飛びかけていた意識を引き戻して、女性を先生から剥がした。

「は、離れて下さいっ」

女性は最初こそは先生を抱き締めて離さなかったものの、堪忍したみたいで大人しくなった。

***

「いやー、お騒がせしたわね…」

「本当ですよ…いきなり来て…香織さん」

女性もとい、香織さんは先生の知り合いらしい。

「仕事の方は順調??」

「はい。その…千歳君がいるので…」

先生は恥ずかしそうに俺を見た。そりゃあ、あんな事をしといて満足できるものが描けてなかったら、俺はキレる。

「よく真ちゃんがアシスタントを呼べたわね」

「後藤さんが勝手に…」

この人、後藤さんの事も知ってるのか。二人はどんな関係なんだろう。
香織さんは、俺が知らない先生の事も知っているような気がする。
俺は何故かその事に胸が傷んだような気がした。

「じゃあ、また来るわね」

気がつくと、話が終わっていたみたいで、香織さんは軽快に帰っていった。

「千歳君?大丈夫??」

先生が俺の事を除き込む。俺は、いつも通りに笑って答えた。

「大丈夫ッス!香織さんが美人で見とれてました」

「そうなの…?」

何でそんな不安そうな顔……そうか、先生は香織さんが好きなのかもしれない。だから俺に取られないか不安なのか。

「取ったりしないんで大丈夫ッスよ」

「……」

「俺、今日は帰りますねっ」

「あ…ちと…」

先生が何かを言ってるような気がしたが、俺はマンションを出た。




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