BL
□素直になろう
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とある会社。
「羽田っ!!」
ガバッと、羽田…もとい羽田 孝樹に何かが覆い被さる。
「重いんだけど…」
孝樹が見ると、乗っていたのは成田 柘真だった。
「へへっ、悪ぃ悪ぃ」
そう言ってどいた柘真は、思い出したかかのように言う。
「そう言えばさぁ、千歳いたじゃん?」
「千歳…?あぁ、水輝ね。水輝がどうしたの?」
「漫画家のアシスタントになれたって!!」
「漫画家じゃないのかよ…」
孝樹は呆れたように言った。
「でさぁ、そこの漫画家が伊丹って言うらしいんだけど、男なのに可愛いんだって!」
柘真は興奮したように喋っている。孝樹は、何故かその様子にイラついた。
だが、付き合ってもないしましてや男に、『他の奴の話はするな』なんて言えない。
「羽田、どうした?」
いきなり黙った孝樹を心配し、柘真は顔を覗きこんだ。
「なっ…何でもない!!」
孝樹はそう言うと、足早に去ってしまった。
その背中を見送りながら柘真は呟いた。
「素直じゃないなぁ」
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