*ダンガンロンパ(1、2両方)*
□腑に落ちない
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少し走って、人通りの少ないところに来ると…後ろからついてきた足音が消えた
どうやら…なんとかまけたみたいだ
『はあっ、舞園さん大丈夫?』
「は、はい…ありがとうございました」
『ああいうの困るよね、少し濡れたし』
「それにしても、名演技でしたね」
『そう…かな』
「はい、とても!」
そういって舞園さんは心底楽しそうに笑った
そこまで変なこと言ってたのか…少し恥ずかしい
傘で顔が隠れていたはずなのに気づかれたってことは、あの男が相当なファンだったのか…相当わかりやすかったのか
『舞園さん、いつもあんな感じなの?』
「いえ…いつもはそんなに酷くはないんですけどね」
『大変だね…あっ!?』
「ど、どうしました?」
俺が急に大きい声を出したせいで、舞園さんが驚いてしまった
でもそれ以上に俺が驚いた…走るのに必死になって彼女の手をずっと握っていたことに気がつかなかった
思わず思い切り振り払ったけど彼女がそれを許さず、俺の手をまた握ってきた
『…え?』
「どうせですし、このまま繋いでいませんか?」
『それってさ…彼氏のフリってことだよね』
「…フリのほうがいいですか?」
『はあっ!?』
「ふふっ、冗談ですよ」
『え、ちょっと待って…え?』
「嘘ですよ、もう日が暮れちゃいますし…行きましょう?」
そう言って舞園さんは俺の手を引いて歩き出した、一応俺も彼女を濡らさないように歩き出すけど心の中は困惑でいっぱいだった
冗談で嘘ってどういう意味!?それって本当ってこと?というか何故いつの間にか、いわゆる恋人つなぎになってるんだろう
『…あの、舞園さん?』
「はい?」
『あ、いや…なんでもない』
色々言いたいことはあったけれど、舞園さんがそれはそれは幸せそうな顔をしているので何も言えなくなってしまった
…本当になんなんだろう、この人は笑ったり悲しそうな顔をしたり照れたり…なんでこんなに表情がコロコロ変わるんだろう
やっぱり女の子はよく分からない、いや…舞園さんがよく分からない
…なんだろう、この感覚
腑に落ちない
(俺の中にいつの間にか芽生えていた気持ち)
(君に伝えたら…君はどんな顔をするのかな?)
(少し気になって、俺は君の手を少し強く握った)