おニューtext

□仲間
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私は突撃兵のルポ。私の戦い方は敵陣に特攻していき、敵をその勢いで圧倒し、排除する。そんな私の勢いに恐れおののいていく敵の姿。なんて無様で滑稽なことか。もし私の仲間に尻尾を巻いて逃げていくような者があれば、私はその者を許さない。だが、幸い私の仲間にはそのような者などいない。だから私は自分の仲間に背中を預けられるのだ。


「―――任務だ。早急に遂行せよ!」


アンブレラからの直接任務がウルフパックに与えられた。以前与えられた任務が失敗に終わり数日が過ぎた頃だった。アンブレラは自分達の行動が世間に知られないようにか、アンブレラとウィルスとの関係を結びつける証拠と生存者を消し、との任務を我々に下した。
任務に参加したウルフパックのメンバーはベクター、バーサ、スペクター、そしてこの私の四人となった。


「進め!目的は市庁舎への到達だ!」


ウルフパックのリーダーである私が先陣を切って薄暗い地下を進んでいく。そしてすぐに市庁舎に入りいくつか部屋を過ぎた頃だった。


「…しっ!」


ベクターが物音を立てるなと合図を出した。私たちはそれに従い動くのを止め、同時に耳を澄ました。
なにかのうめき声が耳に入った。それは人間の声のようだったが、"生きている"とは言えないものであった。
私達はアイコンタクトをして、それぞれ銃を構えた。
少しだけ錆付いた青いドアにゆっくり近付き、ドアノブをひねると生きた屍と化したゾンビが勢いよく飛び出してきた。私に飛びつかん勢いのゾンビだったが、すぐにバーサの鉛玉の餌食となった。開いたドアから見える範囲のゾンビ達を次々と倒していき、部屋の中に入る。
部屋の奥ではゾンビが死体に群がっているところだった。私は、奴等がこちらに気付く前にその頭を貫いていく。また別のドアから新たなゾンビ達が現れ、黙々とそれらを撃ち抜いていった。部屋の中のゾンビを全て静まらせたあと、次の部屋へと移動しようとドアに近付いた時だった。
急にドアが弾かれたように開かれ、私達は即座に銃を構えた。


「っ待て!彼はU.B.C.S.だ!」


相手がゾンビではなく生存者であることを理解し、制止をかけた。男はU.B.C.S.の者であった。


「俺はニコライ・ジノビエフ。C小隊、B分隊だ」


ニコライと名乗った男は私達がU.S.S.であることを知ると政府も必死だなどと冷やかした。市庁舎からここまで生き残ってきたようだが彼は所詮U.B.C.S.。使い捨てに過ぎない。私達はニコライと別れ、自分達の任務遂行へと戻った。


「彼はいったい何なの?頭にくるわねぇ」

「気に入らん」

「嫌な奴だ……」


バーサ達はニコライと別れてすぐだというのに、彼への印象を口に出していた。だが、正直私もニコライという存在に苛立っていた。彼の蔑むような姿勢が嫌だった。
私達はセキュリティルームでニコライという者がどんな人間か知ることとなった。


「仲間を奴等の餌にして一人で逃げるなんて…」

「なんて奴だ…」


セキュリティルームのモニターには、ニコライが自分の仲間を見捨てて一人、市庁舎を出る様を映し出した。仲間を何より大事に思っている私にとってそれは、どうあっても許せないことだった。私は苛立ちのあまり、モニターを叩き割ってやりたい程だった。
私は自分の信頼できる仲間の方を向いた。


「私は仲間を見捨てることなどない。皆、生きて此処から出るぞ!」


私の言葉に仲間達は驚いたように私の方へ顔を向けた。だがすぐに笑ったようだった。


「ふふふ。分かってるわよ、リーダー」

「あんたは頼れる人だ」

「嫌いじゃない……」


バーサは笑いながら私の肩に触れた。ベクターは武器を肩に担いで見せた。スペクターはというと肩を弾ませ、面白いと言わんばかりだった。
私は本当に仲間に恵まれているようだ。


「さぁ、行くぞ!」


私達はまた、先に進んでいった―――


























ルポは皆に愛されてると良いなあ。


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