無双ビーエル
□花弁を食い殺す
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ハンドルを握り締めながら、タバコに火を点けるのも忘れてただくわえていた。
「………はぁ。」
解ってはいたが、少し虚しくもある。
環状線を抜けて広めの駐車場にあるコンビニに止めた。わずかでも心を落ち着けたかった。
(…解っていたはずだった。そんなところにも惚れてた。それでも、虚しい。)
逃げようといったが、三成は首を振った。
本当は宗茂のことは知っていたが、あえて今まで泳がせていた。三成がよわりきって自分を頼るように。
だがどんな目にあっても義理の父親である秀吉を裏切ることはできないらしい。
「なら…俺も腹をくくりますかねぇ。」
三成がうなずいてくれたら、逃げた先にすでに用意しておいたマンションのカードキーを手で割った。
「手に入らずとも、どこまでもつくしますかね。」
携帯を取出し電話をかける。
「…もしもし、ああ俺だ、………頼みましたよ、幸村くん。」
「高橋宗茂!教授がよんでいるぞ…!」
「…兼継」
三成とランチをしていた宗茂を兼継が連れていく。
残された三成はそのままパンをかじっていると、すぐにいつも笑顔の幸村がやってきて向かいに座った。
「幸村、久しいな。」
「はい!少しお時間よろしいですか?」
「…ああ。」
三成と幸村は高校が一緒で、三成が誰よりも一緒にいて安らぐ男だった。
「実はわたし、父の会社を継ぐことになりました。」
「ん?兄がいたじゃないか?」
「兄は徳川カンパニーの社長養女と結婚しまして、そちらの子会社を継ぐそうです。」
「徳川…」
「三成どのはあまりご存じではないかもしれませんが、今豊臣グループと徳川カンパニーは犬猿の仲でして…徳川カンパニーが豊臣グループの関連会社を敵対的に株を買いつけて子会社化もしくは倒産においやり、力をつけているみたいです。」
「…俺はなにも聞かされてないのだ。母の意向で女だから学生の間は仕事に携われない。」
「そうですか。三成どの、わたしの父の会社は豊臣グループと、業務提携をしており事実上はあなたの会社の子会社です。」
「俺?」
「はい。豊臣グループの五つの会社の社長補佐をする顧問にあなたの名前はすでにあるのです。三成どの、すぐにでも会合に出ていただき、そこで宗茂どのとご結婚なさるむねをお伝えください。」