無双ビーエル
□お泊り
1ページ/4ページ
「…荷物、持つよ。」
私服の三成はアホかって程可愛かった。
男なのにピンクのカーディガンをさらっと着こなして、グレーと黒のチェックのパンツは細身で裾を少し捲っており、そこから少しのぞく足首は華奢で、足のサイズも可愛らしい。
「これくらい持てる。」
「そうか?荷物少ないな。」
「下着と歯ブラシぐらいしか入ってないからな。あとはお前のを借りる。」
そうなのだ。
今日は三成が一人暮らしの俺の家に泊りにくる。
土日にかけて二人きり。これが嬉しくない訳がない。
「…昼は外でなんか食って、夜は俺が料理してやるよ。」
「お前が料理をするというのか?」
「……あのなぁ、俺一人暮らしだぞ。自炊してるっての。」
きょとんとした三成は、それもそうだな、と頷いてから笑う。
「楽しみにしてるぞ。」
「おお。しとけしとけ。」
笑い返してやっぱり荷物を持ってやる。
少し気に入らないといった顔をした三成の、空いた手を勝手につないだ。
人通りが多くなるまで、三成も大人しくつながれたままでいたから、たぶん、イヤじゃなかったんだろう。
ファミレスで飯食って、DVDをレンタルして。ちょっと新作の靴見て、コンビニで飲み物買って。
ウチに着いたのは夕方になってからだった。
「…おじゃまします。」
三成は律儀に挨拶して部屋に入る。
1LDKの部屋は少し狭く、リビング兼寝室にはベットとテレビとローテーブルと、足無しの二人掛けのソファしかおけない。
「…狭いから、お前ソファ座れよ。俺床でいいから。」
「これは二人掛けだろ。平気だ。」
内心ガッツポーズをしながら飲み物をテーブルに置く。
狭くても、三成にひっつけるのは嬉しい。
借りてきたホラー映画をセットして、三成の隣に座る。
腕を後ろにまわすと、あの三成が…もう一度言う、あの三成が俺の胸に寄り掛かって座った。
さらさらの赤茶の髪から花のような香がする。
「……清正。」
「あ?…な、なんだ?!」
「心臓の音、うるさいぞ。」
「馬鹿…死ねってか。」
「まぁ、俺も、だがな。」
三成の細い指が俺の武骨な手を持ち、そのまま三成の胸にもっていく。
薄い胸板の下に、確かに鼓動が大きく脈打っていた。
キス、していいのかな。