無双ビーエル
□お泊り
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本当に洗い物をしてくれた三成はそのあとも俺に優しい。
いや、ずっと、出会ってから三成は優しかった。
だから、俺も、優しくしたい。
「…なぁ」
「ん?」
「風呂一緒に入るか?」
「……別で。」
三成はそう告げるとさっさと風呂場にきえる。風呂場の扉が閉まる音をしっかり聞いてから洗濯機の蓋の上にタオルと着替えを置いておいた。ちなみに俺の家の洗濯機はドラム式ではない。
「…………」
ソファにもたれながらつまらないバラエティ番組を見る。
内容なんか頭に入らない。考えるのは三成のことばかりだ。
三成がもし、少しでも恐がったらやめなけりゃ、ダメだ。
キスだけであんなにも、たまらない気持ちになるのに。止まれるのか、そればかり考えて。
「………そんなにつまらんかこの番組は。」
「うおぁ…ッ!?」
いつのまにか出てきた三成は俺のジャージを着ている。
中学の頃のだったが、だぼだぼでいわゆる彼シャツ状態がすごく、いい。
「寝巻すまんな。」
「いや、でかかったか?」
「…俺は標準だ!いいから入ってこいクズ!」
三成に蹴りを入れられて風呂場へ急ぐ。
湯槽に浸かりながらため息が漏れた。
湯上がりの上気したピンクの頬の三成は破壊的に可愛いかったのが、もう。
「…頑張れ俺。負けんなよぉ。」
少しやる気の感じられない応援を自らしながら風呂をあとにした。
「あははっ…清正、見ろこの馬鹿達!」
三成はお馬鹿投稿映像百連発とかいう番組を見て、大笑いしていた。
ムード無しな上に寝る気もなさそうだ。
「動物系はまだだよな?」
「まだこれからだ。ははっ見たか今の馬鹿!」
股間にポールがヒットしたいたそうな映像を笑う三成は、少し正則みたいだ。
そういえば昔も、笑いのツボは二人とも似ていたな。
「……清正。」
「あー?」
「……動物映像、見たいか?」
「は?まぁどっちでもいい。」
そう答えた瞬間、三成はテレビを消した。
驚く俺に、顔を真っ赤にしながら見つめてくる。
うそ、だろ。
確かにあんな映像で大笑いとか、ない。緊張してたのか?三成は、少しでも、この先を。
「……明かり、スイッチ壁しかないから、先ベット行け。」
声が少し震えてしまった。