無双クロニクル夢

□温泉でほっこり
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月、正則、清正、三成の四人は秀吉のすすめもあり、温泉へと立ち寄ったのだった。


「…なんで俺たちだけ温泉に?」
「まぁまぁ細かいこと気にすんなよ清正!おりゃあー!!」
「待て馬鹿!洗ってから入れ!」

湯に飛び込もうとする正則を清正が制し、洗い場に連れていく。
衝立ての向こうで動く気配がしたので三成かと思い、正則は桶に入ったお湯を勢い良くぶっかけた。

「オラーッ!!おっせーぞ頭でっかちィ!!」
「え?わぷ!?あち…ッ!!」

そこには大判の手ぬぐい一枚を巻いた月がびしょ濡れになって茫然としていた。

「月ッ!?」
「………ひどい正則…」
「いや頭でっかちかと…っ」
「ほぉ?俺がなんだ?」

後ろから三成もやってきて、正則は清正のかげに隠れる。清正は濡れて透けた手ぬぐいからうっすらうかんだ胸や足の付けねをみて、まだ湯にもつかってないのに真っ赤になって固まっている。

「…な、なんでおまえがいる!?嫁入り前だろ!後にはいれよ!」
「えー!せっかくみんなできたのになんで私だけひとりなの…?」
「う!そ、それは…!」
「ちゃんと洗ってから入るから…一緒に入ろ?」

すたすた近寄ってきて上目使いに見上げてくる顔の可愛さに清正はさらに真っ赤になった。正則なんかは鼻血を流している。

「……み、三成!」
「馬鹿が。コイツ程度で狼狽えるな…こい月、背中を火傷に障らぬように流してやる。」
「はぁい。」

三成が月を呼び寄せ座らせると、丁寧に傷口に薬をおとして清潔にし、また薬を塗る。ひどいのは左肩と脇腹の傷で、他はすでに完治しかけていた。

「腹のは刀傷じゃないな…」
「種子島。とっさに避けたから脇腹かすっただけ。切り傷ならもっと早く治るよ。」
「ッ…だからといって油断するな。この小さな背に、傷跡がたくさんあるのを見て、俺は悲しい。」
「三成?」
「…怪我はこれが最後にしろ。」
「………ん。」

振り返りにこっと笑う月に、照れ隠しか否か、三成は他も丁寧に素早く洗ってやり、早く湯に浸かれと追いやる。

「肩は絶対浸かるなよ。傷口に障る。」
「はぁい。失礼清正、じゃまするよ。」
「ヒッ!……あ、あああ!俺にかまわず入れ!」
「ん?…どうした清正、けっこう温いのに真っ赤だぞ。」
「だから俺にかまうな!」



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