無双クロニクル夢
□お泊り会
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ねねにもてなされた月は、宴もそこそこに退室し、眠りほうける。
翌朝、日がのぼりはじめた早朝に目覚め、庭の拓けた場所で稽古を始める。
「…双牙紅蒼を扱うとまだ速さが付いてこないな…」
パワー型に変えたはいいが、まだ腕力が足りず隙ができてしまう。
思案していると、気配を感じて振り替える。
「…よォ、朝から稽古か。」
「お前は………正則どの。」
「馬鹿!清正だッ!!」
思い切り間違えた月に、清正は怒鳴るが、すぐにこほん、と咳払いをする。
「き、昨日は悪かったな。」
「きのう?…ああ、別に。嫌われるのはなれている。女で子供で無礼で、無慈悲で。これほど武人に嫌われる要素があるのだからな。」
「ッ!…嫌ってなどいない!……俺は、お前に会うの、楽しみにしていた。」
清正はその男らしい顔を真っ赤にしながら月の小さな肩をやさしく掴む。
「武功があるお前の話をよく秀吉さまがされてたから…俺もお前と話したかったんだ。」
「清正どの…」
「あ?」
白魚のように可愛い手が清正の額にふれる。びくりと清正の体が跳ねた。
「清正どの…熱があるのでは?」
「ッ!!…こ、これは違う!これは…」
「清正〜!月!なぁにしてんだよ?!」
正則が駆け寄り、慌てて清正は離れる。
その顔を覗き込んでた月も、正則ににこっと笑いかけた。
「おはよう正則どの。さて…ねねの朝飯の支度でも手伝うかな。」
刀をしまい、屋敷に入る。
その背を、正則がぼぉっと見つめているのを清正は不思議そうに見た。
「………いい。」
「あ?」
「いい女だよなぁ、あの可愛さで強いんだぜ?笑いかけられるとまさに、天にも昇る気持ちになるしよぉッ!」
「………お前がまさかライバルとは………」
「ん?なんか言ったか?」
「いや。」
翌朝から稽古をしているとかならず二人があらわれて、しまいには一緒にするようになった。
二人ともかなり強く、月はいい練習台を得て、新たなパワー武器も馴染んだ頃、二人ともすっかり打ち解けて仲良くなっていた。
「…ごちそうさまです。」
「あ、三成!また残して…もっと食べなさい!」
その言葉を無視して三成は下がる。
月は三成とはほとんど口を交わしていなかった。
「三成どのは食が細いのか?」
「まぁ、そうだな。」