無双クロニクル夢

□お泊り会
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■柴田家■


「お世話になります。」
「……わぬし、なんだそのふざけた格好は。」

女の着物に、可愛らしい簪や帯紐はさておき、刀まで可愛らしい紐が付けられていた月に、勝家はにらみつける。

「…し、柴田どのっ!私、わたし…っ!」

一週間を振り返りうろたえだす月は、勝家に抱きつく。
勝家は驚きながら内心おどおどしていたが、外見にはまったく同じてないかのように落ち着いて背に手をあてた。

「…どうしたという?」
「み、光秀どのは稽古も危ないからと…刀を振らずに七日も!わたし、鈍ってはいませんか?弱くなってたら…っ!」

光秀の家は心地よかったが、それだけがどうしても心配で仕方なかったのである。
勝家はなんとなく察し、簪をとってやり、放り投げる。

「戯け!なまったなら、この柴田が仕付け治してやろう!さぁ、上がり道場へくるがいい!!」
「ッ!……は、はいッ!!」

おろおろするのを止めて、勝家のあとに続き、着物を着替えて久方に組手や刀合わせを行う。
すこし鈍ってはいたが、徐々にカンを戻していき、日が暮れる頃には道場の床に二人して大の字で寝転んだ。
窓からつきがみえる。

「はぁはぁ、つかれたぁ…」
「弱音を軽くはくな。」
「は、はい!」
「…明日は朝から滝修業をして、ここで稽古をし、竹林にて技を研いたあとは禅にて精神を研く。」
「はい…!!楽しみです!」
「…ふ、かわった子供だ。」

にこっと月が笑いかければ、勝家はめずらしく笑い返した。

「…わぬしも、早く結婚しろ。独り身の武人はつまらぬ。大殿のことしか考えられぬのだから、頭の堅いことよ。」
「そんな柴田どのを、利家も私も尊敬しておりまする。」
「……そうか。」

くしゃりと頭を撫でてやると、それが気持ちいいのか目を閉じる。猫のようぞ、と笑われながら何度も撫でられれば、眠りだしてしまった。

「……わぬしのような、子を持ちたかったわ。」

寝所にまで運び、布団に寝かせてやれば、可愛らしく勝家の上着をつかんでいた。その手をそのままに、器用に上着をぬぎ、置いていってやる。

「…明日から、楽しみだな月よ。」


家老鬼柴田に、その後みっちりと鍛え上げられ、業も術も向上したのは言うまでもない。


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