無双クロニクル夢

□お泊り会
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月を可愛がるガラシャをみて和む月は、思わずガラシャのほほに口付ける。
それを見ていた奥方は、美しい顔で笑いながら二人に飛び付いて頭を撫でた。

「かわいー!!もうガラシャの妹になっておしまい!」
「え?姉じゃ…」
「それがいいのじゃ!妹よ、わらわが可愛がってやるぞ!」

ガラシャにひっぱられて、ガラシャの部屋に連れられると、服を脱がされる。

「え!?な、なに?」
「怯えるでない。わらわが服を貸そう!…ほむ、可愛いのぉ〜!」

ぴらぴらとしたレースのついたガラシャの白地の服の色違いで薄いさくら色を着させられる。
もともと髪型が似ているせいか、まるで姉妹のようだった。

「恥ずかしい…」
「何を言う!いつもより可愛いぞ?さ、父上に見せるのじゃ!」

ずるずるとまたもや引きずられ、光秀の間に連れられると、飲んでいたお茶をこぼしかけた。

「…な、なんて格好を!」
「可愛いのじゃな父上!」
「可愛い、ですが、ッ…か、か……」

ふるふると震えて黙り込む光秀に、何かまずかったかと覗き込む。

「ッ!もう、我慢なりません…ここに座りなさい。」
「え?ひざ?」

光秀の膝上に向かい合うように座れば、きょとんとした月は首を傾げる。それをもう限界とばかりに光秀は抱き締めた。

「ッ!み、光秀どの!?」
「ああ!なんて可愛いのでしょう!そうです!私は以前からあなたには刀などではなくて花を持たせ、鎧など脱がせてガラシャのように可愛い着物を着せてあげたかった!…もう我慢の限界です!ひろこっ!お前も月に似合う服を出すのです!」
「お任せをあなた!」

高速で月の頭を撫でて何度も抱きつく光秀は、普段の面影すらない。
どうやらかねてより、月を蝶よ花よと可愛がりたくて仕方なかったのであろう。その欲望が、一週間とはいえ、かなったのだからうれしくて仕方がないのである。

「…さぁ月、私がこの七日間、甘やかしに甘やかして差し上げますからね?」
「…いや、あの…おかまいなく…。」

若干引き気味ではあるが、多少うれしくもある。
明智家でそれはもう何をやるにも誉められ、愛でられ可愛がられ、月はかつてないほど甘やかされて七日間をすごしたのであった。



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