無双クロニクル夢
□お泊り会
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信長は内密に勝家・利家・秀吉・光秀を呼び出した。
どの将も織田家の重鎮、または信長のお気に入りであり、いったい何事かと緊張が走る。
「…城を、修繕する。して、信長は館に住むが、月はどこぞの宿に一時移ると聞かぬ。そこでだ――」
信長は若い頃、うつけと呼び称されていた頃より、たいそう祭りすきであり、また、悪いお遊びがすきである。
「月を、そなたらの家に預けよう…月が一番心地よく滞在させたものに褒美をとらす。して、下位には罰を与える、ぞ。」
信長の言葉に一同騒ぎ立てる。(勝家除く)
「ええ!?罰ってなんスか信長さま!!」
「わしのとこにずっとおってもええですが」
「秀吉どの、何を!」
「…」
抜け駆けしようとする秀吉に止める光秀。それらを見事スルーして、信長は持っていた扇をパシンっ!とたたみ、黙らせる。
「…期間は七日づつ。光秀、勝家、利家、秀吉の順だ。せいぜいよいもてなしをせよ。ふ、フハハハハっ!」
退室する信長にみな頭を下げながら、各々思案しだす。
あの月が喜びそうなことが、まったく浮かばなかったのだ。
■明智家■
「ようこそおいでくださいました。」
「しばし、お世話になります。」
ぺこっと頭を下げると、出迎えた光秀と妻がにこやかに笑う。
「妻です。なんでも申し付けなさい。」
「……光秀どの」
「はい?」
「貴方も美しいですが、奥方も美しいですね…」
「な…っ!わ、私はいいのです!さ、案内しなさい!」
照れながら奥に行ってしまう光秀に苦笑いしながら、妻が案内する。
「あのひとや娘からお噂はかねがね。どんな屈強な方かと思えば、可愛らしい子ですこと。」
「?…ガラシャは?」
「ふふ、さ、こちらへ。」
部屋に通されれば、いきなりパチパチと拍手が起きる。そこにはガラシャが飾り(汚し)つけた部屋があった。
「いらっしゃいませなのじゃぁ!わらわは今日が待ち遠しくて、ほれ、このように飾り付けてまってたのじゃ!」
「ガラシャ、これは?」
見ればかすてらのようなものが膳に乗っている。
満面の笑みでさぁ、食べよ!と促される。
「ほむ!宣教師どもから聞いてわらわが作ったのじゃ…食べよ!」
「ガラシャ…いただきます!」
「はぅ!リスみたいで可愛いのじゃあ!!」