無双ビーエル
□泥だらけの花
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暑かったから白のタンクにデニムのショートパンツで行こうとしたら玄関で清正に露出が多い!と止められ、負けじと遅刻する!と抗議したら、清正が着ていた薄いグレーのカーディガンを無理矢理着させられた。
清正は身長がかなり高い。
ダボダボなそれはショートパンツより長くて、袖は何回か折ったがまだ長い。
最初は暑くていらついたが、大学のクーラーのきいた教室ではちょうどよかった。
「むむむ!ねぇさんそれ、高橋宗茂のカーデ?」
「えー!彼氏のきちゃうってなんかいやらしっ!」
「弟のだ……うるさいぞ甲斐、くの。」
呆れながらカフェで買ったアイスココアを飲みながら、ベンチに自分を挟むように座る二人を交互に睨んだ。
「弟いたんだ〜!イケ面?アンタに似てるの?!」
「ああ。二人いて、血はつながってないのだが…まぁ、イケ面かな?」
「いやーん、複雑なにおいが。そういえば今日は旦那がいませんな?」
「宗茂はさきほど女につれてがれてた。」
「……あー、そっか。アンタも苦労するわね。」
三成はきょとんとして、甲斐を見てからすぐに睨みつける。
「…べつに。奴がモテようが私には関係ない!」
「……前から思ってたんだけど、アンタ、宗茂きらいなのに何でつきあってるの?」
「いやよいやよもって奴?」
「…」
黙って俯いてしまった三成を、二人はお弁当を食べながら覗き込む。
「もしかして、なんかされてる?」
「ねぇさんせっかくきれいでモテルのに宗茂のガードきつくて、しゃべりかける男はケーワイな兼続と幸村さましかいないよね…。」
「…いや、別に……」
「三成。」
もどってきた宗茂が飲み物を二つもってきて、甲斐とくのに渡す。
二人はえ?っと首をかしげると、宗茂はその美貌をフルに使った笑顔でどうぞ、と勧めた。
「三成には別のを買ってやろう…おいで。」
「飲んでるからいらぬ。…じゃあな久野、甲斐。」
宗茂に腰を抱かれて立たされるとくのと甲斐に手をふりそのまま連れられていく。
甲斐はつまらなそうにその背を睨んだ。
「あれってあからさまにウチらが邪魔ってこと!?…顔はいいけどムカつく!」
「…宗茂って婚約者がいて、三成はその友達だったんだって〜。で、その友達が事故って三成が奪ったんだって。」
「三成が?嘘でしょ?」
「…ちょっと調べて馬に蹴られてみますか!」