無双ビーエル

□泥だらけの花
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部屋で三成と片付けをしていた正則は、突然入ってきた清正の顔色の悪さに驚いた。

「どうしたよ?」
「三成はっ、どうする!?」
「は?」
「お前は諦めるのか正則!俺は…俺は三成をあきらめるなんて…ッ!三成ッ!!」

子供のように三成にすがりつきながら抱きつく清正を、三成は驚きながら正則を見る。正則は取り敢えず声が漏れぬようにドアをしめて鍵をかけた。

「……いまは、どうしようもねーだろ。」
「ッ、いやだっ!」
「清正…」

正則は頭のどこかでこんなことが長続きするわけがないと解っていたらしく、意外にもすんなり諦めがついていた。
清正には青天の霹靂でも、正則には始まったときにすでに終わりが見えていたのだろう。見合いの話も、もう何年かまえに聞いていて、実際相手と秀吉をふまえ食事もしたことがあったのだ。
だが諦めはついていても、悔しさは拭えない。


「………孕ましてやろーと思ってはいたんだが…それも無理だったみてーだし、もう手はねぇよ。」


さらりと恐ろしいことをいった正則を、この世のものとは思えぬぐらい驚きながら三成は見つめる。
清正も動きをとめて正則を見た。

「正則…?」
「俺は清正とは違って遠慮なくガンガン中だししてやったのによ、チックショー、頭くるよな。」
「ひ…っ!」
「最後にいま、チャレンジしてみっか?」

急に腕を掴まれて三成の体が震える。
清正も驚きに正則を茫然とながめた。

「ぃ……ぃゃぁ…っ!!いやだッ!!」
「はっ…ははっ冗談だって!」
「ッ!!」

涙を滲ませながら三成は部屋を飛び出た。
正則は何事もなかったかのように片付けを再開する。

「……孕ませて、どうする気だったんだ?」
「あ?そりゃー責任とるっておねねさま達にいってよ、晴れて結婚!ってな。」

振り返り笑顔の正則の狂気を垣間見た清正は背筋が凍る。



「清正、お前にはまだ時間があるし…試してみっか?」




それは甘い毒のような、悪魔の囁きだった。




数日後には正則は家を出た。
そのあと秀吉とねねもまた本社にもどり、清正と三成の二人だけの生活がはじまった。
清正はひどく情緒不安定で、いつになく三成に干渉したが、暴力もセックスも少なく、ただ子供のように甘えるのが増える。

そして二ケ月がたった。



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