無双ビーエル

□泥だらけの花
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「見覚えは…ないですかね?」
「え?」
「…ここは貴方の養父、秀吉さんの会社です。そして俺はその部下だったりするんですがね。」
「っ……う、そ……」

三成は顔を青くする。
この左近には自分が誰かに襲われているのがバレているのだ。必死に隠してきた父にそれを進言されればどうなるか考えただけで、絶望に足が震え、唇を噛んだ。

「…三成さん、落ち着いて。左近の顔をみて。」
「あ…」

左近は優しく笑い、三成の肩をたたく。

「たまたま社長の卓上の家族写真をみてね、まぁ驚きましたよ。」
「…ひ、秀吉さまには?」
「社長には言いません。もちろん奥様にも。だけどこの件、見てみぬふりもできない。」

三成の服の裾を捲り上げる。
そこにはあざや鬱血のあとが多くあった。

「やめてくれ!…ッ…みないで…」
「…誰がこんなことを?」
「ッ…言えない!!」
「…まぁ、予想はついてますよ。あなたの義理の弟だ。」

三成はとうとうわっと泣きだして、そのを服をきちんともどしてから左近は落ち着くように頭を撫でる。


「可哀相に…一人で辛かったでしょうね。」
「ッ…辛くない、辛くなど…お願い、言わないでくれ!」
「それは先程も言いましたが、他言はしませんよ。だけどね、悔しくはないですか?それにこのままじゃ、いつかは社長は本社から戻られる。……両親がもどられて、アンタの弟たちはレイプをやめますか?常習化した暴行を…やめるとは思えないね。」
「どんなにいやでも止めてくれない!もう、どうしようも…」

さめざめと泣き崩れる三成に、左近は力強くにやりと笑う。

「ですから、左近におまかせあれ。実はすでに一つ策を仕掛けてあるんですよ。」
「……え?」









「…なんでそんな……急に―――」

休日、突如帰ってきた秀吉とねねは、申し訳なさそうにことを告げた。
茫然とする正則を気遣いながらねねが詳細を告げる。

「もともと正則の両親はウチが借金を肩代わりしてやって、事業に専念して正則を育てる余裕もお金もないから私が引き取ったのよ…」
「…は?じゃあいまさら戻れってか?」
「それは違うさ。仕事が軌道にのって借金もなしたし、会社も大きゅうなった。正則、おまえさんにそこの会社を治めてもらいたい。どうもおまえさんの両親は油断成らん。徳川カンパニーともつながっちょるっつー噂だ。」

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