無双ビーエル
□寂しく幸せな海
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廊下に貼り出された成績順位一覧を見て、とりあえずホッと一息ついた。
とりあえずは一位を取れた。あんなに世話になっているのに、勉強ぐらいまともにできなくてどうする。
「一位ですか!…はぁ、頭いいんですね。」
結果を知らせれば意外に左近は喜ぶと言うよりかはまいったな、といった感じだった。
少しむっとしてしまう。
「…三成さん、アンタ、部活は?」
「一応茶道部だ。週に二回しかないがな。」
「うーん……あ、お小遣い今月まだでしたよね?カードも使っていいんですよ?」
「いらぬ。まだある。」
「……つかってないんですか?」
「え?いや、幸村達とたまに帰りにファミレス行ったりカラオケ行ったりして使ってるぞ?」
「うーん…」
「なんなのだ?」
頭をかかえる左近に苛々してしまう。質問にも脈絡がない。
それにしても朝からとっても手の込んだ食事だ。
くたくたの甘さ控えめなフレンチトーストに、苺と生クリームが添えられている。サラダも俺が好きなカニカマが乗ってるし、コンソメスープも野菜たっぷりで、とても美味しい。
一口たべれば、苛々は飛んでいく。左近はまだ難しい顔をしていた。
「……学生時代が昔すぎて思い出せない。」
「は…?」
「いやね、三成さんには青春を楽しんでもらいたいんですよ…勉強も俺に義理たてて無理にしなくていいし、もっと他に、部活とか遊びとか、そういったことも楽しんで過ごしてほしいんです。」
「…無理にではない。勉強はもとから十位以内だったし、バイトがないから、その分勉強できたのだ。それに……」
確かに最近放課後付き合いが悪いと兼続に昨日言われたばかりだ。でも、だって、仕方ないじゃないか。
「…はやく、かえれば…そのぶん左近と、過ごせるじゃないか…」
「…………」
左近が大きく開いた口をポカーンと開けて、フォークにさしていたミニトマトをフォークごとテーブルに落とした。なんだ、汚いやつめ。
「…なんだ?」
「左近と、そんなに一緒にいたいんですか?」
「?…ああ。お前と、一緒にいるのが楽しい。」
ふふん、と意地悪く笑って聞いてきたのに、左近は少し顔を赤くして苦笑いをした。
「…まいったねぇ。まぁ、青春もそこそこ楽しんでくださいよ?」
「?…ああ、解った。」
大きな手が頭をぐりぐりと撫でる。これがなんだか気持ちよくて眼を閉じた。