無双ビーエル

□動物園の子供たち
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「そうですか…よい友人をお持ちですね。」
「ああ。お茶持ってくるな。」

三成がキッチンに行くと、兼続が左近に向き、見据える。

「島左近さんでしたっけ?三成とはどういった関係なんです?」
「遠縁といいますか…三成さんの亡くなった兄の奥さんの従兄なのでまったく血縁ではないんですがね…」
「ならなぜ三成殿を?」
「…まぁ見てのとおりお金は親の遺産でたくさんあるので、三成さんの話を聞いたときに力になりたいと思ったんです。」
「そうですか…」

兼続はほぼ納得したようだったが幸村は依然にらむように見てくる。

「結構年上そうですが、ご結婚は?」
「お恥ずかしながらまだ…」
「お仕事は?」
「…金融関係です。」
「ちゃんとした?」
「こら幸村。」
「…島どの、三成どのは少し外見が中性的な為、学内でも男に悪い意味で好かれやすいのです。よからぬことを考えてはおりませぬな?」

幸村の言葉に内心やれやれ、と思いながらにこやかに反論する。

「…こうみえても嫁はいませんが女に不自由はないんでね。」

三成がよろよろと大きなお盆でお茶を運ぶとすぐに左近が受け取る。
目の前にはコーヒーとロールケーキ。

「左近は料理がすごいのだ。これも手作りだぞ。」
「いやぁ…さすがに洋菓子は本読みましたよ。」

幸村が厳しい表情のままロールケーキを一口頬張る。

「………美味しい!」

一瞬にして頬が弛み、幸村がぱくぱくと笑顔で食べだす。さっきまでの剣幕さがなりを潜め、笑顔で左近に目を向けた。

「すごいですね島どの!」
「いえいえ…あ、俺のもどうぞ食べてください。」
「いただきます!」
「早ッ!早いぞ幸村…遠慮はどこへいった?!」

すっかり食べ物で懐いてしまった幸村は、その後お土産までもらってにこやかに帰っていったのだった。



「いやぁ、二人とも面白い子達ですねぇ。」
「…まぁな。」
「……共通点は、直情的で誠実、クソ真面目ってとこかな。」
「なにかいったか?」
「いいえ?あ…口にクリームが。」

三成の口の横にキスをして、怒る三成を宥める。
それから買い物に行かなければ。


「…ねぇ三成さん、晩ご飯は何がいいですか?」


普通で不変で代わり映えがなくて、そんな日常を、あなたに。



END

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