無双ビーエル

□動物園の子供たち
5ページ/6ページ



湯上がりでウサギの柄のぱしゃまを着た三成がやってくると、左近はまた内心悶えながら冷静を保つ。

「…ところで左近、俺の部屋にベットがないんだか…」
「あそこは勉強部屋でしょ?寝室は左近と一緒です。」
「…そうか?では、先に寝るぞ。」

あっさり信じた三成に、左近はもう一つだけと悪戯心に火をつけてしまった。

「…三成、おやすみのキスは?」

わざといやらしく言えば、三成は顔を真っ赤にして固まる。嘘です、と言おうとしたら、三成が左近の耳を引っ張った。

「冗談ですって!いたた…ッ」
「…おやすみ、バカ」

こめかみにトン、と暖かい感触。慌てて振り替えれば真っ赤にして俯く三成の、なんと可愛らしいことか。

「っ…口がよかったです、三成さん」
「…あ…、」

細い顎を持ち上げると反射的に三成が目をつぶる。その震える唇をそっと奪って、左近はすぐに離した。

「……さ、お休み三成さん。」
「ん。お休み左近。」

ぽーっとしたままふらふらとベットに向う三成が寝室に消えてから、左近は頭を抱えた。

「はぁ〜…クソッ。まずは家族的な愛情を植え付けないと………じっくり、虜にしないと…」


少し仕事をしてから風呂に入り、三成の眠る布団に静かに入り込む。
行儀よく眠る三成の可愛らしい顔を眺めてそっと枕をはずし、左近の腕を差し込む。


「………アンタは俺のだよ。だから、明日も逃げずにいい子にしてな。」


抱き抱えるようにして眠ると左近の厚い胸板にすがるように頬をよせる。
その赤い髪を何度も何度も撫で付けて、手のなかに三成がいることが、愉快で仕方がなかった。





―――翌週


三成のマンションを訪れた幸村と兼続は部屋に入るなり唖然とした。

「…い、田舎の親方様の家並みに広い…」
「……あの狭小アパートを気に入ってた三成には過ぎたるものだな…」

中々居間まで来ない二人を促して、居間のソファーに座らせると、左近がさわやか(?)にスーツで登場した。

「いらっしゃい!…三成さんのお友達ですってね?いや、色男じゃないですか。」
「そうなのだよ。幸村は剣道武のエースですごくもてるし、兼続は一年で唯一生徒会に入ってて頭がとても頭がよいのだ!」

嬉々として三成が説明している間も二人は完全にドン引きしていた。左近がどっからどうみてもヤ○ザさんにしか見えない。


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ