無双ビーエル

□動物園の子供たち
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「…ところで家事なのだが、俺にも手伝わせてくれないか?」
「うーん…掃除は毎週水曜の午前にハウスキーパーが来ますし、洗濯もスーツは下のクリーニングに出して仕事行くから簡単なものしかないですよ?…まぁあとは食事と買い物ぐらいですか?買い物は週末になるべく一緒に行きたいですね。」
「冷蔵庫が大きいからかなり食料を溜め込んでるな…」
「無精者なんで。なんでも無理にすることはないですよ。俺が仕事で遅いときは夕飯でも作ってくれると助かりますがね。」
「わかった…いつでも何でも言ってくれ。」

にこにこと左近が笑い、三成はなんだ?と首を傾ける。

「左近のご飯をおいしそうに食べる三成さんが可愛いから…夕飯も左近がなるべく作りたいですな。」
「……可愛いは余計なのだよ。だが、本当に美味しい。ずっとお金なくてご飯もろくに食べてなかったから…」
「…これから左近が太らせてあげますからね。」

大きな手で頭を撫でて、左近はまた食べだす。三成は胸がぐっとつまって涙が零れそうになるのを必死に堪えた。一度泣いたら、一生泣き止まない気がする。

食べ終えて食洗機をまわすと、左近がお風呂に入りましょう!と三成を小脇に抱えて脱衣所に放る。
四人は入れそうなジャグジーに夜景が観放題な豪華さ。相変わらず落ち着きなく入ると、三成はいい香りのボディーソープで体を洗う。

「…あ、駄目ですよ、頭から洗わなきゃ。」
「……なぜお前も入る?」

突如着衣のまま入ってくる左近を睨みながら、三成の背後に立ち、持ってきたシャンプーで三成の頭を洗い出す。

「よせ!自分でできる…!」
「まぁまぁ。シャンプー持ってきたついでですって。三成さんはこのさらさらストレート用使ってくださいね。今日美容室から取り寄せました。」

また何やら高そうなボトルをまじまじ見ている内に、頭をてきぱき洗い、濯ぐ。トリートメントもして、ついでにマッサージもした。

「…これ、俺が左近にやるべきじゃないのか?」
「いやいや、左近は何事もするほうが好きですので。結構です。」
「…物好きめ。」

ちゃんと温まってからでてきてくださいね、と言って出ていく。


「はぁ、想像以上の綺麗さだったなぁ…。」

一緒に入らなくて正解だったかも、と左近は己の若さにうなだれた。


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