無双ビーエル
□動物園の子供たち
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「…ただいま。」
部屋に行くと、左近はキッチンでくわえタバコに包丁を持ち、何かを切っていた。
「おかえりなさい三成さん。ちょっと夕飯待ってくださいね、と。」
見れば魚をさばいている。その姿は中々にさまになっていて、三成は感嘆の声をあげる。
「すごいな、魚さばけるのか。」
「何でもできますよ?有能なんで。」
「自分でいうな。」
「今日は帰りが遅かったですね。」
「うん。あのさ、左近………」
何か言うのを躊躇っている三成に左近はタバコを灰皿に押しつけながら見つめる。
「約束その2、忘れちゃいましたか?」
「嘘を吐かない。」
「よくできました。」
「…実は友人で過保護な二人がいてな、休んだ時に俺のアパートに行ったらしいのだ。で、左近に世話になっていると言ったらお前に会わせろという。」
「なるほどねぇ……あ、これテーブルに運んでください。」
できあがった刺身をもち、すでに並んでいるおかずにそえる。左近がごはんと味噌汁をもち、三成に可愛らしいウサギが描かれているおちゃわんをみせた。
「三成さんのはこれです。可愛いでしょう?おはしもうさぎさんですよん!」
「…俺をいくつだと思ってる。」
ぱん!と手をあわせていただきます!と左近が言い、食べだす。三成も頭をさげていただきますと食べはじめた。
「…うまい。うまいぞ左近!」
「あ、そうですか?こっちも食べてくださいね。はい。」
三成の反応をみながら左近はにこにこと笑った。
「さっきの話ですけどね、いつでもいいですよ。お友達も心配なんでしょう。一応、遠縁のおじさんってことにしときますか?借金の話もしてないんでしょ?」
「左近…」
「まぁ、恋人でもいいですよン?」
にや、と笑って箸で豆腐をつかみ、三成にあーん、と口元に持っていく。つい食べてしまってから、三成の顔が紅くなっていった。
「ッ!!バカが!…俺は男だぞ!」
「はいはい。座ってたべてくださいね。」
立ち上がって怒る三成に、左近は素知らぬ顔で食べ続ける。
三成はふに落ちないながらも座り、ご飯を食べる。おいしくてやはり口元が弛んだ。
「まぁ仕事もあるんで…来る日を教えて頂ければ早めに帰ってきますからね。」
「……恩にきる。」