無双クロニクル夢

□上洛。留守番中!
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織田家は上洛の準備をすすめていた。

上洛は信長もさることながら家臣一同念願の場でもある。
無事京までたどり着けば、天下に信長の名を轟かせることとなるので主な家臣は必ず同行し、皆上洛には付いていきたいと思うのが普通であった。
だが、その間に城を攻められてはかなわないので誰かしら残ることになる。


「…私は行かなくていいなら残ります。この間お饅頭買いに行ったばっかだし。」

まっさきに手をあげた月に、信長はまた笑いのツボを刺激されたらしく、月に留守を一任したのだった。





「…月どの、これはどうしましょう?」
「ん?ああ、門に建てる。」
「兵の訓練をみてほしいのですが…」
「いいよ。今行く…あ、これも渡しといて。」
「月どの、濃姫が大殿が御出立してから日に日に不機嫌に…」
「夜、遊び行くって言っといて。」
「急遽武田の使いがいらしたのですが…」
「そんなの事前に連絡するのが礼儀でしょ。なんか持たせて帰らせて。」
「家臣同士が争いをおこしてるのです。助けてください!」
「訓練のあとに話を聞こう…あ、その時は堀どのも呼んでね。」
「あの、訓練が…」
「ああ、行く。」

月のもとには大まかな仕事はこないが、こまやかで些細な相談がひっきりなしに来ていた。
普段から雑務処理班もとおり、何でも屋かのように相談すればたいていのことは解決していたため、月に頼めばなんとかなる!と言った噂が広がっていたのである。
そして何より頼みごとは嫌な顔をしないので頼みやすく、身分の低い者も高い者もあまり覚えてないため、皆に平等に接していることも人気の高い理由だった(逆に身分の高い家臣の一部からは疎まれていた)。
ただ普段から仕事がないので暇をもてあましていたというのもある。

「月さまっあの、…これよかったら!」
「あ、お菓子…いいのか?」
「え、ええ!あまり上手に出来なかったのですが…」
「うまいです!…礼に何かあげます。入り用なものはなにかあるか?」
「わ、わたくしの名を覚えてくださいませ!…サヨともうします。」
「…サヨ、よい名だ。顔も可愛らしい。覚えたよ。挨拶してね?」
「きゃーッ!はい!月さま!」

そしてなぜか女中にモテモテで、秀吉が嫉妬に歯ぎしりするほどだった。

「あの訓練を…」


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