無双ビーエル

□欲望の街
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ここは世界最大のメガシティと評されている、東京。

世界最大の人口を有する都市圏であり、その中で偶然に出会う確率はいかほどであろうか。

さまざまな人がいるから仕事もあり、どん底に沈む人生もあれば成り上がりもある。
夢と希望を抱えて砕かれた者をたくさん見てきた。
中でも自分が暮らすこの街は治安もよろしくなく、それでいて夜は煌びやかで金のまわりがいい。
軽蔑の意味を含まれながらこうよばれた、欲望の街・動物園、と。

欲望の街、とは言い得て妙だ。



ここは欲望が深いほど、自滅していくのだから。




「……迷惑なんでよそでしてくださいね。」


薄汚い街の暗い路地裏で、チンピラが意識の無いボロ雑巾のような学生を蹴り続けている。こちらを見て悲鳴を上げながら逃げていく。失礼な。
血と胃液のようなゲロに塗れたブレザーの制服に触れたくもなくて足で肩を蹴って仰向けにする。

「…へぇ、上玉ですな。」

赤毛の髪の下には飛び切り整った美しい青白い顔が隠れていた。
屈んで頬に手の甲をあてると冷たいが息はあるようでわずかに呻く。

「…ぅ」
「救急車よびましょーか、オニーサン?」
「…ぃや、…かまうな、っ」
「困りましたな…まぁ俺も呼べる立場じゃないんだが…ん?」

ぽつりと一粒雨が落ちて空を見上げた瞬間頬にも落ちた。舌打ちして青年を見ると気を失ったようでぐったりとしている。

「鬼でも美人には弱い、ってね。」

本降りになる前に青年を抱えあげると苦笑いしながら自分の車に押し込んだ。









■欲望の街■




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