あの日の夕焼けは僕等を焦がす
□第五話
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「あらっ?もしかして稜くん?」
あまり記憶のない声に名前を呼ばれふりかえる
あぁ、なんだ
山田のおばさんか
お菓子とかもらったり、とりあえずよくしてもらってた
まぁ、おもちゃみたいにもされたけど
「ずいぶん、ひさしぶりじゃないかしら?」
「えぇ、5年ぶり・・・ですかねw」
そうか
“たった”5年か・・・
「もうあの子達とは一緒にいないの?ほらっ、顔の綺麗な子たち」
山田さん、ブサイクの人権は無視ですか?
「僕たちは大人ですよ?いつまでも一緒にいるなんて…」
それは誰にいったのだろうか?
そう。子供の付き合いはいつまでも続かない。例え、永遠を願ったことがあっても
自分に言い聞かせてきた言葉
「そう・・・。てっきりおばさん、貴方達はまだ付き合いが続いてるのとばかり・・・
ごめんなさいね。おばさんの悪い癖」
いいえ、と目の前の人にだか、自分に言う
「菫さん(稜の母)からは元気にやっているっていうのは聞いてたの。
もちろん、活躍も♪すごいじゃない」
いいえ
いいえ
それは僕の力だけじゃないんです
結局、僕はあいつらがいないと、あいつらに頼んないとだめみたいです
「稜くんが書いた本、売れてるんでしょ?おばさんも読んだけど、すごいわね
あんなに『ヒーローになりたい』って言ってた子が・・・ww」
そう
僕は小説家になった
この前、すごい賞をとった
でもそれは僕の想像の中の生き物じゃない
僕の想いでの中に今もいる生き者たちの話
「フィクションなのにリアリティがある」という好評
あたりまえだ
なぜなら、これは実話だからだ
店にいくと学生の話題になっているのを聞く
主人公は四人
「河内 泉」
「加賀 琥宇」
「伯耆 由羽」
「岩代 碧」
つまり「僕等」の物語だ
真相は掴めない
僕。つまり「河内 泉」の視点のみで物語は進んでいく・・・
ひさしぶりに自分の偽物の傑作でもよむか
新刊なのに薄汚れていた表紙に在るのは「やぶれたよつば」